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| 番外編 中林宏明 | ♯03 膨らむ空虚感 すり切れた魂

♯03 膨らむ空虚感  すり切れた魂

  
吉川メソッドの方はと言うと、表参道店のトレーナーを募集し、面接をして、スタッフも揃っていった。当時の吉川メソッドのメンバーは吉川先生、女性スタッフのNさん、中林の3人だけだった。 
 
この3人と、表参道の出店をサポートしてくる別会社の方も一緒だった。※正確に言うと、新しい会社を設立して表参道店出店に向けて動いていた。 
 
吉川メソッドのメンバーが少数ということもあって、役員にもならせていただいた。 
 
当然の報いだが、スキル不足だったり仕事のできなさ加減から、未熟な僕は役員を外されることになる。 

なんせデッドライン(締め切り)を一度も守れなかったのだ。ありえないと思う。外されないための努力をした訳でもない。外されても仕方ないと思いつつも、落ち込んだ。 
 
その頃は新人トレーナーの育成のためのスケジュールやタイムテーブル、マニュアル作りなど、初めてのことだらけでアップアップしていた。 
 
さらに、中林ジムの予定も入っていたので休むことができず、疲れていた。 
 
新人のためのタイムテーブルがいつになってもできずに、女性スタッフNさんと一緒に徹夜をして作ったこともあった。 
 
完全に僕のミスで作っていなかったのに、徹夜して手伝ってくれた。 
 
もちろん先生には怒られた。 
 
吉川メソッドでは認められていないような気がしていた。一方で、「中林ジム」では必要不可欠な存在として認めてくれいている。 
 
どっちが居心地が良いかと言われたら、そりゃ中林ジムに決まっていた。辛くない。大変さもない。自由も効く。待遇も良い。なにも問題ないし、贅沢だった。 
 
でも、吉川メソッドのような厳しい環境の中には、経験をしたことのないような優しさや、厳しさがあった。 
 
辞めていく先輩は吉川メソッドの理不尽さをつつく人が多かったが、僕にそれは感じなかった。 
 
逆に、理不尽なことは一切なく、正直にぶつかってきてくれるから、それを受け入れがたいこちら側の言い分なのではないかと思った。 
 
吉川先生はとても正直で、素直で、まっすぐな方だ。 
 
吉川メソッドの社訓にこんな言葉がある。 
「0.1秒でも迷うな!常に困難な道を選択しろ」 
 
この言葉がずっと脳裏にあった。 

 

中林宏明:吉川メソッド

 
吉川メソッドでは新店舗のオープンもあって忙しかった上に、「中林ジム」で働くという日々が続いた。 
 
最初から決めていたように、「中林ジム」は立ち上げの手伝いということで、モニターさんたちが卒業されるまでを一区切りと決めていたし、Tさんにも話していた。 
 
でもメンテナンスで継続していただける方もいるし、なかなか辞めることができなかった。 
 
また、そんな時にTさんから、「是非、中林トレーナーに見てもらいたい僕のお世話になっている方がいる。」ということで、その方も担当をすることになった。 
 
半年以上が経ってから、Tさんにジムを離れることを相談した。 
 
残念そうにしていたし、吉川メソッドよりも待遇をよくすることを言われたが、吉川メソッドに戻りたい意思があることを伝えた。 
 
贅沢なのかもしれないが、自分にとって待遇が良いことはあまりメリットではないと感じてしまった。お金は増えても、認めてくれる人が増えても、全然満たされない気分だった。 
 
「中林ジム」で自分一人でお客様をサポートすることを経験して、まだまだわからないことばかりだし、筋トレをサポートする技術が伸びない気がした。 
 
一人になってトレーナーという職業はすごく難しいものだと改めて実感をして、大きな壁にぶち当たっていた。 
 
もし、担当をさせて頂いたお客様から紹介をどんどん頂けていたら、そのことに満足をしてジムを離れようとは思わなかったかもしれない。 
 
でも、現状としてはお客様の成果を出すようにサポートができても、お客様も自分も心底から満足のいくような結果ではないことに、自信をなくしていた部分がある。 
 
だから、まだまだ修行が足りないと感じて、吉川メソッドに戻ることを決めた。 
 
Tさんからは、「ジムを辞める前に、中林くんの後釜になる人を紹介してくれないか?」と言われたので、探すことにした。 
 
考えた末に、友人Rに連絡をすることにした。 
 
友人Rは、僕を吉川メソッドに紹介をしてくれた仲が良い友人の一人だった。 
 
何を隠そうその友人Rは、僕が面接をした翌日に先生にチャットで一方的に辞めることを伝え、その後、会社からの連絡を一切取らなかった、いわゆるバックレの友人でもある。 
 
その彼に連絡をして、Tさんとの出会いと今までの経緯を話し、「よかったらここで働かないか?」ということを聞いた。 
 
Rはやる気のようだったので、早速Tさんと会ってもらうことにした。 
 
Rは長身でイケメン、人当たりも良いやつだったので、Tさんにも気に入ってもらえて、働くことになった。 
 
そして、僕はジム“M”から徐々にフェードアウトしていくことになる。 
 
(次回) ♯04 消せない過去