糖質を摂らないと筋肉が落ちる!?【その3】糖質制限をしたら力が出なくなった、バテやすくなった

吉川朋孝

糖質制限でしっかりとカロリーが摂れていれば、本来は身体の調子は良くなり、力も出るはずなのですが、力が出にくいと感じたり、バテやすくなった人は意外と多いです。では、なぜそうなるのでしょうか?

「糖質を摂らないと筋肉が落ちる!?」シリーズ全3回の最終回です。

第1回「糖新生によって筋肉が分解されて筋肉がなくなる?」
第2回「糖質制限をしたら筋肉が細くなった!?」

糖質制限で筋肉が落ちると思われてしまう主な原因
  1. 糖質制限をすると糖新生によって筋肉が分解されるから筋肉が落ちる
  2. 糖質制限をしたら筋肉が明らかに細くなった
  3. 糖質制限をしたら力が出なくなった、バテやすくなった

今回は、3の「糖質制限をしたら力が出なくなった、バテやすくなった」の誤解を解いていきます。

【誤解】糖質制限をしたら力が出なくなった、バテやすくなった

このシリーズの第1回、2回を読まれた方は、もう答えがおわかりですね! はい、このような症状が出たら、ほぼ間違いなくカロリー不足、脂質不足です。脂質不足とあえて書いたのは糖質制限をダイエットで始める方が多く、「高カロリーな脂肪は太る」と誤解され、脂質を制限しがちだからです。

仮にカロリーが十分に摂れていたとしても、重要な栄養素の脂質が足りないと体調を崩しやすくなります。糖質制限をして不調を感じたら、まず間違いなくカロリー・脂質不足です。脂質は血糖値に影響を与えないうえ、ホルモン生成にも欠かせない栄養素なので、積極的に摂るべきです。

三大栄養素のなかで脂質が一番太りにくい

同カロリーの場合、たんぱく質、脂質、糖質のなかで、じつは脂質(脂肪)が最も太りにくいのです。

糖質は体の材料として必要ないばかりか、エネルギーにしかなれないうえ、肥満ホルモンのインスリンを分泌させるので、他の栄養素と比べて断トツに太りやすいです。もちろん身体にも良くありません。

たんぱく質はDIT(食事誘発性熱産生)によって、摂ったカロリーの30%を消費しますが、満足感が得られません。ササミをお腹いっぱいに食べてもすぐにお腹が空いてしまう経験はあるのではないでしょうか。

物理的に胃が膨らんで満足した気になっても、脳は満足しませんので、たんぱく質ばかりの食事でダイエットをすると、過食衝動が起きやすくなります。

一方、脂質を摂ると満腹中枢を刺激するコレシストキニンやレプチンの分泌によって、脳が正常に満足するので過食を防いでくれます。また、糖質を食べたくなる衝動もたんぱく質ばかりのダイエットより満足感が得られるので、抑えやすくなります。

脂肪を摂っても太らない原因を夏井睦先生がわかりやすく炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】 植物vs.ヒトの全人類史 (光文社新書)で、書いてますので引用させていただきます。

食物中の脂肪は小腸から吸収されるが、吸収されるかどうかは血中の遊離脂肪酸濃度によりコントロールされている。血中遊離脂肪酸の濃度が低ければ脂肪は吸収されるが、遊離脂肪酸の濃度が正常値に達すると、腸管からの脂肪吸収はストップし、腸管内に残った脂肪は便と一緒に排泄される。これは、血液中の遊離脂肪酸の溶存量には限界があって、それ以上は溶け込むことができないためらしい。つまり、脂肪たっぷりの食事をしても、それに含まれる脂肪が全て吸収されるわけではないのだ。

経口摂取した脂肪と肥満とは本来無関係であり、脂肪にしてみれば「無罪の罪」を着せられたようなものだ。ところが、ここに糖質が絡んでくると話が違ってくる。[脂質と糖質の同時摂取]→[糖質によるインスリン分泌]→[血中の遊離脂肪酸濃度低下]→[腸管からの脂肪吸収が再開]→[インスリンの作用で脂肪細胞に中性脂肪蓄積]となるからだ。

つまり、脂質単独では太らないのに、脂質と糖質が組み合わさると、肥満の原因になってしまうのだ。

夏井睦(著) 炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】 植物vs.ヒトの全人類史 (光文社新書)

脂質のカロリーを気にして避ける女性に便秘が多いのも、腸内の潤滑油になる脂質が足りないからですね。焼肉で脂身たっぷり食べた翌日が快便なのは、脂質がしっかり摂れているからです。

健康のためにも積極的に脂肪を摂ろう

脂質やカロリーを十分に摂る正しい糖質制限をすれば、人体の様々な代謝システムが安定するので、ホルモンバランスが良くなり、昼間の眠気ゼロ、睡眠の質は良くなり、免疫力向上、アレルギー症状の緩和、肌・髪・爪などが驚くほど綺麗になるなど、糖質制限で得られるメリットをあげだしたらきりがありません。

良いことばかりな話を聞くと、いかがわしいですが(笑)、結局のところ、糖質制限はヒトにとって最も適した食事法だから、人体の複雑で精巧なシステムが上手く機能し、正常な状態を常に保ってくれるわけです。肌が綺麗になるのも、アレルギー症状が緩和されていくのも、身体が正常に戻そうとしてくれるだけですね。

糖質制限をしてから筋トレで力が出なくなった

最後に「力が出なくなった」についてですが、筋トレのような無酸素運動時はブドウ糖から作られるグリコーゲンを使用しますが、糖質をカットし始めたばかりの頃は、まれに力が出ないと感じることがあるかもしれません。

考えられるのは、肝臓でブドウ糖を作り出すシステムの糖新生がまだうまく働いていない、活性化されていないことによって、筋グリコーゲンが生成されにくい。また、脂肪からエネルギーを使うシステムもうまく働いていないのかもしれません。

うまく働きにくいことがあっても、数ヶ月以内に改善されると思います。いずれにしても、動物性の脂肪とたんぱく質をしっかり摂れば力は出やすくなるので、カロリーおよび脂質不足には、十分に注意して糖質制限を行っていきましょう。

POINT
  1. 力が出にくくなったり、バテやすくなったら、カロリーと脂質不足を疑う
  2. 三大栄養素のうち、脂質が最も太りにくいが、糖質と脂質の組合せになると一番太りやすくなる
  3. 糖質制限を始めたばかりだと、糖新生や脂肪からエネルギーを得る機能がうまく働かない可能性があるが、数ヶ月もすれば良くなる

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