平成の侍と吉川メソッドとの出会い
羽深勇介
今日はよろしくお願いします。めちゃくちゃシャープな感じを維持されていますね。
満足しないです。もうちょっと絞りたい…(笑) この間、NHKの番組でビフォーアフターが放送されたんですよ。昔の映像と今の映像が放送されたんですけど、全然別人って感じでした(笑)
町井勲さん
羽深勇介
今日は、バヤシ(中林)さんが町井さんの著書「最強のすすめ」を読んで、感じたことなどを含めて質問を考えてくれました。質問をさせていただきつつ、吉川先生と対談をさせていただくという感じで、進めさせていただきます。今日はよろしくお願いします。

「最強のすすめ 日本刀が教えてくれた日本人の生き方」町井 勲 (著)・和月 伸宏 (著)
吉川メソッドを始めたきっかけは唐沢寿明さんの後押し
吉川先生とはもう何年も前に知り合ってたんですよ。知り合ったきっかけは極真会館の松井館長でした。あと、俳優の唐沢寿明さんも先生と知人で。
町井勲さん
吉川朋孝
町井勲さん
吉川朋孝
町井勲さん
吉川朋孝
それで、前からすごく吉川メソッドをやりたかったんですけど、なかなか飛び込む機会がなくて(笑)
町井勲さん
吉川朋孝
はい、あの頃は。でも、共通の知り合いの唐沢寿明さんが後押ししてくれることになって。たしか、唐沢さんに誘って頂いて、みんなで焼き鳥を食べに行ったんですよ。
町井勲さん
吉川朋孝
唐沢さんが「町井さん知っているんですか?」って言って「知ってますよ。」ってなったんですよね。唐沢さんに町井さんが居合を教えていたんですよね?
町井勲さん
吉川朋孝
そうですよね。それで唐沢さんが「今度いっぺん町井さんと飯でも食いに行きますか?」ってなって、焼き鳥屋さんでご一緒させてもらったんですよね。そのときに、町井さんが「やりたいやりたい!」っていう感じだったんですよね。
もう、お酒も入って「ここは清水の舞台から飛び降りるしかないだろう」っていう感じになって(笑) もうだんだんお腹がでてきて、刀の抜き差しが辛くなってきたんですよね。動きの機敏さがなくなったというか。で、そろそろ息子に代を譲って自分は引退したいと思っていたのに、息子はなかなかテレビに出てくれないし…。
町井勲さん
吉川朋孝
もう少し自分が露出しないと。だから、絞らなきゃってことで、吉川先生に泣きついて。
町井勲さん
吉川朋孝
自分でどれだけがんばってダイエットしてもリバウンドの繰り返しだったので「ここは本物のプロのトレーナーについてもらって、本物の技術を学ばないと」っていう思いだったんですよね。でも、すごく悩みました。やっぱり先生のところは高額なので。
町井勲さん
吉川朋孝
安いパーソナルトレーナーもたくさんいるじゃないですか。で、嫁とも相談をして、安いところに行った方が良いんじゃないの?って話もあったんですけど、僕は今まで居合を極めてくる中で、“本物という一流の技は一流の人からしか学べない” という気がしていたので、これは、絶対高い買い物にはならないと思っていたんですよね。結果良かったと思っています。
町井勲さん

町井勲が感じた、自己流筋トレと吉川メソッドとの違い
吉川朋孝
実際体験されて、やっぱり自己流の筋トレとは違いましたか?
もう、トレーニングが楽しくて楽しくて。僕が突き詰めて求めてる居合と共通性が多かったのがすごく驚きでした。ただ刀を鞘(さや)から抜いて切るとかではなく、僕も、柄(つか)の角度、刀の刃の角度でも、ミリ単位で修正をしてやっていくんです。先生のトレーニングでは、例えばバーベルを上げる。1mmずれただけで筋肉に効かないってところが凄く共通していて「同じだなぁ!」と思って、ビックリして、すごく楽しかったです。たった10回なのにすごく効くし。あれ10回だからできるんですよね。あれを100回やれとか言われたら、たぶんできない(笑)
町井勲さん
吉川朋孝
でも、すごく効く。たった10回がすごくしんどい。吉川先生にもお話しましたが、よく自慢げに言われることがあるんです。「僕、毎日100回素振りやっているんです。1000回やっているんです」とかね。居合とか剣道で。でも僕の中で「いや、意味ないよ」って思うわけですよ(笑)
町井勲さん
吉川朋孝
刃筋が絶対ぶれないように、ゆっくりでもいいから、真っ直ぐ気持ち込めて10回素振りをした方が絶対技術が付く。先生と同じですよね。
町井勲さん
吉川朋孝
町井勲さん
吉川朋孝
へぇ~。だからトレーニングで集中されるのが上手かったですよね!
町井勲さん
吉川朋孝
僕も皆さんに「集中です、集中です」とか「1回1回に魂込めて」とか伝えるんです。1回1回下ろすときは、サッと下ろさないように。とかも。「最初にどうやって下ろすかっていうのをちゃんと頭で考えて、1回1回集中して丁寧にやらないとダメですよ」って言うんですけど、それでもテンポ良くやっちゃったり、深く考えずにすぐ下ろしちゃうみたいな。慣性でやっちゃい易いんですよね。でも本来は、下げる軌道で上げる軌道が決まるから「下げる」っていう動作がもっとも大事なんですけど、みんなは下げることよりも上げることに一生懸命になっちゃうんで、やっぱりターゲットの筋肉に効きにくくなりますよね。
筋トレと居合の共通点
吉川朋孝
全く一緒なんですよ。例えば、上から斬って、下から斬りあげるっていう動作。あれは、上からの振り下ろしが正しく出来ていなかったら出来ないんですよ。
町井勲さん
吉川朋孝
全く一緒なんですよ。上が綺麗に切れなかったら、次は絶対失敗しますからね。
町井勲さん
吉川朋孝
町井勲さん
吉川朋孝
やっぱりそうなんですね。どこにも無駄があっちゃいけないですからね。本来は。
町井さんでも陥る「自己流ダイエットの罠」~肉体改造による居合への影響~
自己流のダイエットでリバウンドの嵐
羽深勇介
吉川先生のところに来る前に、自己流でやりました。うちは山の手に家があるんで、スキー場のゲレンデ並みの坂が多いんですよ。そこを毎日走る!
町井勲さん
吉川朋孝
1.7kmの距離なんですけど、結構傾斜がきついんですよね。あと、ご飯の量を控えることもしました。
町井勲さん
吉川朋孝
ちょっと意識しました。で、そのときは成功して、自分で15kgくらい落とすことができたんです。でも、リバウンドの嵐でした(笑)
町井勲さん
吉川朋孝
町井勲さん
吉川朋孝
やっぱり。そのときは筋トレされていなかったんですね。
筋トレは一切していなかったです。ジョギングをすれば痩せると…。
町井勲さん
吉川朋孝
先生から聞いて「全く真逆のことをやってて怖ろしいことをやってたな」って思いましたね。
町井勲さん
吉川朋孝
そうですね。有酸素運動だけだと太りやすくなりますからね。
羽深勇介
筋トレを行い、短期間で肉体改造をして、居合への影響はありましたか?
正直に言うと、居合と筋肉ってあんまり関係ないんです。
町井勲さん
吉川朋孝
軸とか、そういうものを意識するので。ただ、シルエットが細くなったりするので、それは子供達には喜ばれるようになりましたね。
町井勲さん
吉川朋孝
居合は筋肉ではなく、中心軸を意識しているんですね。太っていると、刀がどんどん体から外れたところに差すことになる。そうなると、軸と刀との距離が遠くなる分、誤差が生じやすくなるっていうのがあったんですよ。それが痩せることでだんだん体が戻ってきたことによって、より小さな動きで動けるようにはなりました。見た目ではわからないくらいですけど。
町井勲さん
吉川朋孝
うちでは、とにかくフォームにうるさかったと思うんですよね。斜めに上げたりとか、肩のどっちかが数mm上がっているだけでも注意してたと思うんですけど、なんでそこまでするかっていうと、みなさん左右均等じゃないんですよね。例えば右は10回上がるけど、左は8回みたいな。左右均等じゃなくてもうちでは、必ず同じ重さで左右同じ回数をやるようにしているんです。右が強いから右だけ重いのをやって、左は弱いから左は軽いのをやっていると、永遠にその誤差は縮まらないじゃないですか。左右均整のとれた筋肉を付けることが最も重要で、それが見た目的に美しいだけではなく、体の重心の取り方がしっかり出来るようになるんですよね。だから怪我もしない。腰痛も肩凝りもなくなる。余談ですが、僕は空手をやってたときは、どうしても左脚のキックがすごく苦手だったんですね。空手を辞めてから10年以上経った頃のことですが、その頃は、均整の取れた筋肉が出来上がってきて、マッスルコントロールも上手くなっていました。そんなとき「左ってどうやって蹴ってたっけ?」ってキックの素振りをやったら、すごい簡単にできたんですよ。だから一生懸命空手の練習をしていた頃より、今の方ができるようになっているんですよね。たぶん、町井さんの場合も、筋トレを数ヶ月やったときに、筋肉の左右差はどんどん縮まっているはずなんですよね。それもあって重心の取り方が上手くなったりとかがあるんじゃないかなと思うんですけど。
町井勲さん
吉川朋孝
正しいフォームで均整の取れた体にすることで精度がアップ
吉川朋孝
なんだろう、以前よりも技が掛かりやすくなったっていうのはありますね。
町井勲さん
吉川朋孝
なるほど。そういえば、バーベルカールをやったあと、いつもこういう動作をやってましたよね?
(腕の上げ下げ)
はい。バーベルカールをやったあと、筋肉が疲れて腕を上げるのももうしんどいんですよね。そのときっていうのは、一番最短距離で腕を上げられる。合気道で言うと、一番理想的な角度で上がるんです。
町井勲さん
吉川朋孝
なるほど(笑) 逆に力が入らないから、その中で動作を行うのが一番いい腕の振り下ろしなんですね。でも、それが筋トレだと筋肉の負荷を逃がす楽なフォームってことですけどね(笑)
そうなんです。だから居合にとっては、もう最強でしたよ(笑)
町井勲さん
職人が感じるジレンマ「本物を伝承することの難しさ」
羽深勇介
町井さんの著書『最強のすすめ』を読んでいるとテレビの演出から町井さんの伝えたいことは、全然伝えられていないと思いました。吉川メソッドと近いものを感じます。本の中にも「カリスマ性を見せることはないから門弟生が増えない…(笑)」とありましたが、これから考えている試みなどあるのでしょうか。
いろいろ考えているんですけど、本物を伝えるって正直難しいと思うんですよね。
町井勲さん
吉川朋孝
伝わらないんですよね。テレビにベンチプレスの指導が映っても「ただのベンチプレスでしょ?はいはい、わかってるよ。何がミリ単位だよ」みたいな感じになりますからね。体験すると本当にミリ単位の修正で全然変わってくるのがわかるんですけど、それが映像や文字からでは伝わらないんですよね。体験した本人にしか伝わらない。
映像で見ても一般の人達は、今1mmずれたことはわからないですよね。
町井勲さん
吉川朋孝
そうですよね。どれだけそこに気を遣っているかっていうのは、伝わらないじゃないですか。しかも、大体使われる番組ってバラエティなんで、厳しくされてるとか、タレントさんがキツい顔してるとか、そっちの方がフィーチャーされちゃいますからね。これは僕らの課題ですよね。体験していただければわかるんですどけね。
ほんとに、伝えられないのが、もどかしいんですよね。ほんと恥ずかしい話なんですけど、うちはいつ潰れてもおかしくないくらい門弟が少ないんでね。
町井勲さん
吉川朋孝
メディアで伝わる町井勲は「斬るだけの人」
合気道で自分で道場持って先生やってる人とかが、うちに来るでしょ。そしたら、斬ることしかできないと思っていたのに「すごい人だった」って褒めてくださる訳ですよ。
町井勲さん
吉川朋孝
「次も是非教わりたい。」って話になるんですけど。体感してもらうまでは、その先生の人も、僕のことを「斬るだけの人」テレビで僕のこと見てる人も「斬るだけの人」にしか思っていない。
町井勲さん
吉川朋孝
そうですよね(笑) でもやっていることは違うんだよと。あれは体の体幹だとか、軸の操作とか、それの賜で、斬るのは副産物なんです。
町井勲さん
吉川朋孝
僕もがんばってYouTubeとかに稽古しているところをのせるんですけど、伝わらないですね~。ここ(手首)を相手に握らせて、今この瞬間が相手を崩した動きなんですよ。
町井勲さん
吉川朋孝
わかんないですよね。それがね、ほんと課題ですね。先生と一緒で。
町井勲さん

その道の”本質”を伝えることが一番難しい
吉川朋孝
僕らも情報はどんどん外に出すようにしてるんですけど、それは映像だったり文章でわかりやすものに限定されてしまって、本当に伝えたい部分は映像では伝えきれないんで、もどかしい部分がありますよね。
それが伝えられたら人増えるんじゃないかな~?(笑)
町井勲さん
吉川朋孝
はい、増えますよ!自分たちもよく言ってるんですけど、自分たちの強みって、体験しないとわからないんですけど、そこがハードルが高すぎて、テレビでやる部分はとにかく“高額なジム”って感じなので、余計ハードルが高いじゃないですか。「高いだけで、別にどこでも痩せられるでしょ。」みたいな。痩せるのは簡単なんですけど、筋肉を付ける技術だったり、筋トレの本質的概念というのは全然違うんですよね。たぶん、町井さんも感じたと思うんですけど、1mmの違いとか、それだけ気を遣わないと筋トレってほんと難しいんだな。って。今ご自身でやられていると思うんですけど、正しい方法を知ると、今までやっていたような何回もやる感じの筋トレじゃないですよね。
ないですね。先生から教わったように全く同じ事はできないんですけど、すごくミリ単位の動きを気を付けて、バーベルは丁寧に10回だけしか上げないです。
町井勲さん
吉川朋孝
で、ちょっと休憩して、重さを上げて、限界まで。10回ができなくなるまで。
町井勲さん
吉川朋孝
上げるだけとか、回数だけとか、疲労させれば良いって言う考えではなくて、1回1回を集中してやる、素晴らしいじゃないですか。
ジムでレッグエクステンションをやっていたときは、昔は「俺50回できたぜ!すごいだろ!」みたいな感じだったんです。
町井勲さん
吉川朋孝
今はゆっくり丁寧にやったら、10回で十分しんどいですよ。
町井勲さん
吉川朋孝
そりゃそうですよ!(笑) テンポ良くやると慣性で上がっちゃいますからね。
卒業後の町井さんの筋トレ
羽深勇介
今はどれくらいのペースでジムに行っているんですか?
今は忙しくてあまり行けてないですけど、週に1回いって、1時間くらいやりますね。
町井勲さん
吉川朋孝
今日久しぶりにお会いしましたが、すごいシャープなままですもんね。
吉川メソッド卒業生として、しっかり維持しようと思ってがんばってます。
町井勲さん
居合と筋トレから得られる強さとは?その道を究める旅に終わりはない
羽深勇介
町井さんの言葉で「強くないと余裕ができない。余裕がないと優しくなれない」とあります。吉川先生の言葉でも「自分を好きになりなさい。自分が嫌いな人を誰が信用するのか。責任と自信を持つ生き方をしなさい。本当の優しさは、強さの中からしか生まれない」というものがあります。お二人の言葉はすごく似ていると思います。強くなくても余裕がなくても、生きていける時代かと思いますが、町井さんにとって、強さとはなんでしょうか?
いろんな強さがあると思うんですけど、やっぱり自分自身の強さですかね。自分自身に余裕を持って強くなれれば、対外的にも強くなれると思うんですよね。
町井勲さん
吉川朋孝
まさにそうですよね。僕も、本当の優しさって、強さの中からしか生まれないと思っているんですね。自分に自信があって余裕がないと、人にする優しさも、それは逆に人から何かをしてもらいたいための優しさだったりしちゃうわけじゃないですか。でもやっぱり、強さの中から生まれる優しさだとしたら、それは決して何か見返りを求めているわけではなくて、相手のために自分が何ができるか、伝えられるかって行動になるはずなんですよね。魚をあげるよりも魚の捕り方を教えてあげられる自分である。みたいな。だからやっぱり、まずは己が。じゃないですけど。己が強くならないといけないなっていうのは、僕も基本だと思います。そのためにやっぱり筋トレでも何でもそうだと思いますけど、自分が物事を突き詰めてこだわり続けて深く理解してないと、相手に教えるときも大雑把になっちゃいますから。僕がよく言うんですけど「自分がある分野の知識を100%持ってて、相手に伝わるのは大体50%くらいだよ」と。自分が、その分野以外のことも知識や経験をしっかりと養う。いろんな事を知っているから、その分野についても200%以上知ることができて、初めて相手に100%伝わるんじゃないかなと思うんですよね。町井さんもそうだと思うんですけど、いろんな生徒さんに指導をしていて、勉強になることとかありませんか?
門弟さん達に教える中で、毎回毎回気づきと発見はたくさんあるんですよ。僕も学ばせてもらっているんですけど。
町井勲さん
吉川朋孝
伝えることの難しさ
今、先生が仰ったように、自分では100%伝えているつもりが、ま~伝わってない…。
町井勲さん
吉川朋孝
(笑) もちろん僕も暗黙知的なことは伝わらないっていうか、伝え方は色々あるとは思うんですよね。1を教えて1が出来たら2が教えることができて、2ができたら、ようやく3が教えられるっていうことじゃないですか。でも教えられる立場からすると早く覚えたいんですよね。僕も空手やってたときはそうだったんですけど「早くハイキック覚えたいです」とか、町井さんの門弟さん達もそうだと思うんですけど「早く派手な技を覚えたいです」みたいな。でも、そこまでにはプロセスがすごく大切じゃないですか。これが筋トレの場合だったら、ペンチプレスっていうものがあったら、下げて上げるっていうことは、誰でも簡単にやれるじゃないですか。でもこの上げ下げだけの動作にもレベルが1から10までは余裕であるので、本人からしたら「10回できました!」って感じかもしれないですけど、やり方のレベルが全然違いますからね。町井さんで言えばあの巻き藁を斬った。そして、斬れました。でもその切れ方とか速度だったりのレベルがあると思うんですよね。
町井勲さん
吉川朋孝
筋トレでも、例えばベンチプレスでマックス100キロが1回上がった。果たしてそれが良いのかどうかみたいな。

共通する「量より質」思考
吉川朋孝
100キロを1回挙げるより、やっぱり50キロでもいいから10回を丁寧に、1回1回が100点満点で挙げられる方が良いと思うんですよね。だから伝わらないって言うのは、1が出来た人にようやく2が教えられて、2が出来たら3を教えられてっていう順番なので、これが相当遠いと思うんですよね。町井さんが100で初心者の門弟さんが1だとしたら、1年かけて、ようやく8とか10わかりましたって感じになると思うので。僕のLINEスタンプの第2弾に「筋トレの道は一日にしてならず」っていうスタンプがあるんですけど、
町井勲さん
吉川朋孝
筋トレを知れば知るほど「これマスターはないな。一生自分は極められないな」って思ったんですよね。逆に言えば、それは悲観することではなくて、ずっと成長を続けられることができるんだって思ったんです。だから僕は、筋トレは一生ものだって思ったんですよ。
僕も全く一緒です。今はこれが最高の技だって思ってても、明日とか明後日には違う発想が生まれるかもしれない。
町井勲さん
吉川朋孝
町井勲さん
平成の侍でも、吉川メソッドは辛い? 吉川の一言で辛さから解放された
羽深勇介
やっぱり炭水化物が食いたくなったんですよね。1回泣きついたんです。先生に。
町井勲さん
吉川朋孝
ありました!夜遅くの時間に。写真を撮って、先生に「これちょっとだけいいですか?」って。怒られるかなって、ビクビクでした(笑) で、返事が返ってきて「いいですよ!食べても」って。「うわ、やったー!!炭水化物食える!」って思ったら、その後先生から「でも町井さん、過去最高の自分の体作りたいんでしょ?僕は止めませんから、食べたかったらどうぞ」って。食べれないですよ!そんな事言われたら!(笑)
町井勲さん
吉川朋孝
それで「すいませんでした。つまらぬ事をお聞きしました」で終わりました。
町井勲さん
羽深勇介
それは先生に止められたのではなく、町井さんの自分の判断で食べなかったということですね。
そうですね。逆に、ダメですよって言われたら、もっと食べたいって思ったかも知れないですね。先生の良いところは、自発的に自分が食べないようにしてくれたっていうところですね。
町井勲さん
吉川朋孝
人によっては「ダメでですよ!」ってハッキリ言う場合もあるんですよ。そう言って欲しい人もいますので。
町井勲さん
吉川朋孝
僕がそのとき町井さんにそういう風に言ったのには理由があって、町井さんは、ご自身で独学で居合を極められているところがあって、僕とすごく似ている気がしたんですよね。もし、僕だったらどう言われたらしないだろうって思うと、小さい頃からそうなんですけど、協調性がない代表だったので(笑)、ダメって言われたことはしたいんですよ。
町井勲さん
吉川朋孝
そうですよね(笑) だから「いいよ。やるなら自分の責任でやりなさい」って言われると、もう自分に矢が向いて出来なくなるんですよ。だから、町井さんもそうじゃないかなって思って、僕はそういう風に言ったんだと思います。でも、それが結果オーライで良かったですね!(笑)
町井勲さん
痩せると思わぬ所から抵抗される
それからみるみる細くなっていって、先生が一番初め通い始めたときに言ったんですよ。「細くなっていったら、奥さん怒りますよ」って。
町井勲さん
吉川朋孝
町井勲さん
吉川朋孝
なんか心配になっていくみたいなんですよ。旦那さんが格好良くなっていくと。
町井勲さん
吉川朋孝
だんだん結果が出てくるじゃないですか。最初は「痩せたね」だけだったんですけど、だんだんヤキモチみたいな感じになっていったんですよね。ちょっとそれも面白かったですけど。
町井勲さん
羽深勇介
吉川朋孝
途中で「もうそれで良いんじゃないの?」って感じになるんですよね(笑)
もう良いんじゃないの?って本当に言われました!(笑)「これ以上なにしたいの?あんた。女作りたいの!?」って。
町井勲さん
一同:(笑)
町井勲さんが感じた、糖質制限と筋トレの効果!
羽深勇介
睡眠時間が少なくても体が元気!っていうのは驚きました。
町井勲さん
吉川朋孝
だから、仕事が忙しくて3時間くらいしか寝られない日が続いても、全然平気。炭水化物を食べてたときは、急ぎの仕事があるから家に帰ってすぐにやらなきゃって思っても、眠たくなってできないんですよ。それで、1時間だけ仮眠しようと思ったら朝まで寝てるっていうのがよくあったのが、今は結構がんばれる。
町井勲さん
吉川朋孝
僕もそうなんですけど、イライラしなくなったり、肌のつやが良くなったりとか。町井さんは明らかに若返りましたよね!
町井勲さん
吉川朋孝
あのメタボの体から自分の体が引き締まったことから、嫁さんには悪いですけど、男としての自信も付いたというか。今は悪いことはしていないです(笑) はい。奥さんオンリーです。
町井勲さん
吉川朋孝
一同:(笑)
羽深勇介
吉川朋孝
聞くね〜(笑) それ言っちゃうとね!あんたそのために痩せたんでしょ。ってなっちゃうから(笑) でも、正直以前よりモテますよね。
吉川メソッド来る前は、ドラえもんみたいな体型でしたからね。
町井勲さん
吉川朋孝
水色の服を着て練習をしている動画を編集しているときに「お、ドラえもんだな~」みたいな。
町井勲さん
一同:(笑)
炭水化物の依存症から抜け出して半年後もキープ
でも、吉川メソッドを卒業してからも吉川先生の言われたことを忠実に守っていると、もう卒業して半年ほど経ちますけど、キープしてますからね。それで、以前ほど炭水化物を食べたくなくなったんですよね。
町井勲さん
吉川朋孝
そうですよね。だって必要なものではないですからね。食べればドーパミンが分泌されるんで美味しいとは感じますけど。
こないだね、ホント些細なことなんですけどジムに行きまして、僕は先生の教えがあってお水をたくさん飲むじゃないですか。で、ポカリスエット飲んでる人がいて。「うわっ!こいつ糖質摂ってる!」って思えるようになりました(笑) それくらい、糖質に対しては余裕ができました。
町井勲さん
吉川朋孝
だって、以前町井さんに聞いたのは、餃子の王将で餃子20人前を町井さん一人で食べてたんだよ。
羽深勇介
町井勲さん
羽深勇介
普通にですね。店に行って餃子40人前を買ってきて、その日に20人前食べて、翌日また20人前を食べるっていう。
町井勲さん
羽深勇介
町井勲さん
ローカーボだからたくさん食べてもどんどん引き締まっていった
吉川朋孝
だから、町井さんはローカーボの中でも超食ってるから!鶏肉とか、1回で1.5kgくらい食ってましたよね?あと、一度に全卵10個とか。食べれるんだったらいいですよ!って感じでしたけど、それでもどんどん引き締まっていきましたもんね。
炭水化物だけ控えればどれだけ食べても良いですよ!ってことだったんで。
町井勲さん
吉川朋孝
卵だったらどれだけ食べても良いんだって思って20個くらい食いましたからね!温泉卵好きなんで、作るのが上手になりましたね!(笑)
町井勲さん
羽深勇介
全然落ちていきましたよ。一番キツかったのは3ヶ月目。2ヶ月目までは、本当に炭水化物以外だったら好きなだけ食べても良いですよ!って感じだったんで気は楽でしたね。3ヶ月目は夕方以降は食べないっていう感じで厳しくやったので、ちょっとキツかったですけど、達成感はありましたね。それで最後3ヶ月後の写真を見たら自分の姿をみて驚きましたからね。仮面ライダーみたいな。背中は刃牙(バキ)に出てきそうな感じで、筋肉見えてる!っていう(笑)
町井勲さん
吉川朋孝
息子さんからもTwitterで格好いい!って言われていましたもんね。
町井勲さん
職人に共通する「量より質」素振りも筋トレも疑い続けて探求する
今は息子とジムに行ってたった10回っていうのが、町井家のマイブームです(笑) 今まではうちの息子もバーベルを20回上げるみたいな感じだったんですけど、今は丁寧にやると10回もできないんですよね。
町井勲さん
吉川朋孝
そりゃそうですよね~。出来ちゃあダメですからね。僕も卒業したお客さんによく言うんですけど「いいですか、◯◯さん、筋トレで重い物が出来るようになったら疑ってくださいね」って。普通は出来るようになったら喜ぶじゃないですか。でもすぐに出来るようになるっていうのは、できるような楽なフォームになっているはずなので、フォームに無駄が出来てるってことになるんですよね。だから、むしろ筋トレの場合は、上がりにくいフォーム、引きずらいフォーム、つまりはキツいフォームが正しいフォームなわけであって、それが無駄のないフォームなんですよね。でもやっぱりみんな上げたいっていう気持ちが先行しちゃって、フォームが乱れてしまう。しかも、それは無意識ですからね。だから相当頭で理解してやらないと。
町井勲さん

ドラクエの会心の一撃では意味がない
吉川朋孝
そうですね。慣れは怖いです。だからさっきの、素振りを反復1000回とか絶対やっちゃいけないですよね。
しばらく来てなかった門弟が久々に来て見てみると、すっごいフォームが崩れてますからね。「家で一生懸命やってたんです!」って言うんですけど「全然違うことやってるじゃん」って。それだったらやらない方がいいよって感じなんですよ。
町井勲さん
吉川朋孝
ほんとそうですよね。おそらく、この話を聞くと「でもさ、1000回振ったら、10回くらいはちゃんと振れてるでしょ?」って思うかもしれないけど、おそらく、1000回全部ダメだと思うんですよ。うちも、1000回は無理だとしても、仮に軽い重量で100回上げるってなったら、100回とも全部ダメなはずなんですよね。やっぱり1回1回すごく集中して、考えてやらないと正しいフォームにはならないんで。いくら100回やっても、100回ともハズレなんですよね。数打ちゃ当たるではないんですよね。
仮にね、その100回のうち、1回でも正しく出来ていたとしても、武術的な立場から言うと、それってドラクエの会心の一撃なんですよね。
町井勲さん
吉川朋孝
敵と戦ったときに、偶然でればいいけど、100回に1回しかでなかったら、自分死んじゃうんで。
町井勲さん
吉川朋孝
毎回毎回それができるようになりたいなって思いますね。
町井勲さん
吉川朋孝
本当にそうですよね。でもちゃんとやれば出来るようにはなるんですけどね。運であってはならないですからね。特に筋トレの場合って筋肉を破壊するほどの負荷をかけるんで、すごく危険なんですよね。その危険なことを1回1回やっているっていうことをちゃんと自覚してやらないと。じゃあ楽なフォームで、軽い重さでやっても、怪我はしないかもしれないですけど、筋肉も付かないですからね。
町井勲さん
吉川朋孝
それはあれですよ。居合をやりたいって言って、ネットで調べて町井さんのところには来ないけど、自分で家でネット見ながら素振りしてるのと同じですよね。それはなんにも得られないですからね。
ここまで早く抜けるようになりました!っていっても、全然無駄な動き入っていますからね。
町井勲さん
吉川朋孝
何事も最初に「何を」「誰に」教わるかが大切
吉川朋孝
やっぱり、まず最初に何を知るかってすごく大事だと思うんですよね。僕がもし居合をやるってなったら、ネットで調べないで、間違いなく町井さんのところに行く。もし町井さんのところに通えない距離だったら、最初だけはちゃんと教わって、それを自分でやりながら、確認のためにたまに町井さんに会って、これどうですか?って聞くと思うんですよね。これは筋トレも同じで、お客さんが卒業されて、自分でやっていると絶対にフォームが崩れちゃうので、たまにでも良いので、うちにきてフォームを見直すだけでも全然違いますからね。今日みたいに町井さんも久しぶりにやると、いろんな発見があると思うんですよね。
はい。楽しみにしてます。もう体が吉川メソッドを求めて求めて仕方がないんですよね。自分でやったらなんか不満足なんですよね。
町井勲さん
吉川朋孝
町井勲さん
おわり

町井さんの過去と現在:過去 (左) 現在 (右)
対談後のトレーニングで衝撃の結末が!!!