吉川朋孝
前回に引き続き、「糖質を摂らないと筋肉が落ちる!?」シリーズの第2回です。
- 糖質制限をすると糖新生によって筋肉が分解されるから筋肉が落ちる
- 糖質制限をしたら筋肉が明らかに細くなった
- 糖質制限をしたら力が出なくなった、バテやすくなった
今回は、2の「糖質制限をしたら筋肉が明らかに細くなった」の誤解を解いていきます。
【誤解】糖質制限をしてから脂肪も落ちたけど、筋肉も落ちた気がする
先に言っておきますが、もし糖質制限によって筋肉が落ちるようなことがあれば、それはカロリー不足、必要な栄養素不足です。
糖質制限を健康のためにする人はまだ少なく、どうしてもダイエットのために糖質制限を始める方が多いので、カロリー不足が起きやすく、筋肉が落ちすぎたり、体調を悪くするのです。
糖質制限はヒトに最も適した食事法なので、人間であるかぎり、誰がやっても良いことしかありません。糖質制限で体調不良になったとしたら、ほぼ間違いなくカロリー不足によるものです。
あとは、糖質制限をやっているつもりで知らず知らずのうちに糖質を摂ってしまっているか、糖尿病の人が糖質制限をしているのにインスリンや血糖降下薬を使ってしまう危険行為から起こるものです。
ですから、もし「私には糖質制限が身体に合わない」と言うことがあったとしたら、それは「私はヒト以外の何か、もしくは地球外生命体です。」と言っているようなものです(笑)
それから糖質は他の栄養素と違い快楽物質のドーパミンを分泌させるので、糖質制限初期で不安定なことがあれば、それは糖質の禁断症状です。事実、脳の反応を見ても、脳は糖質とコカインの区別をつけてません。
私は断言できます。「今後、いかなる食事法が出てきたとしても、糖質制限以上に健康に良い食事法はない」と。ケトジェニックやMECなど名前は違えど、糖質を減らしている以上、糖質制限と同じです。
糖質を摂れば誰でも血糖値が上がるのは生理学的事実ですから、これを変えられないうちは、これ以上に健康な方法はないと断言しておきます。
市販の体組成計の筋肉量の値を信じてはいけない
体組成計で表示される体脂肪率および筋肉量は、おもちゃの様な機能なのであてになりません。業務用の高価なものでも正確な数値を計測できる装置は現在の所ありませんので、体組成計の数値は気にしないでください。試しに水分をたくさん摂ったときや、身長入力を10cmぐらい変えると数値も変わるので、あてにならないことがわかるはずです。
細く感じるのは浮腫と霜降りがなくなったから
糖質を普通に摂っていれば、体脂肪が多くなり、筋肉内は霜降り状態になっています。糖質制限をすると、この霜降りの脂肪が落ちるため、筋肉が細くなったと勘違いするのです。
また、ブドウ糖は水分と結びつきやすく浮腫の原因になります。糖質制限をしたらすぐに1〜2kg落ちるのは、この浮腫がなくなるからです。筋肉も糖質制限をすれば浮腫が改善された分は細くなります。これを筋肉が落ちたとは言いません。
ボディビルダーがコンテスト前にカーボ(糖質)ローディングをして、筋肉が膨れて大きくなるのも、筋肉量が増えたわけではなく、体内の水分量が増え、張りが出ただけです。
糖質制限でもカロリーをしっかり摂って、さらに筋トレも正しくできていれば筋肉が落ちることはありません。
清水泰行先生の最新刊「糖質過剰」症候群~あらゆる病に共通する原因~ (光文社新書)で、こんなことが書かれています。
筋肉トレーニングなどで筋肉を増量するためには、糖質を摂り、インスリンをたくさん出すことが必要だと考えている人もいる。筋トレの後にたんぱく質を摂ると、確かに筋肉量は増加するが、そこに糖質を加えると、たんぱく質のみの場合よりも増加量がやや少なくなる。
このデータからも糖質制限をしても問題ないことがわかりますね。実際、私も糖質制限を厳格にしてしっかりとカロリーを摂取してからのほうが、長年止まっていた筋成長も上がりました。牛肉を毎日食べ始めたこともありますが(笑)
- 糖質制限をすると霜降りのサシが抜けて細くなるだけ。筋肉が細くなったのではなく、筋肉が引き締まっただけ
- 糖質制限をすると浮腫が速やかに改善されるので、浮腫が改善された分が細く見えるだけで、筋肉が減ったわけではない
- 筋トレ後はたんぱく質補給のみのほうが良く、糖質を一緒に摂らない方が筋肉量は増加する